楽塾

■発足/1997年4月 ■対象年齢/45歳以上 ■団員数/21名(2008年10月現在)  

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次回公演は、2010年4月27日(火)〜5月4日(火)於:Space早稲田、佃典彦・新作書き下ろし、流山児祥・演出『ほろほろと、海賊』は好評のうちに終了 関連記事 楽塾ブログ 流山児★事務所HP 

楽塾

アングラの帝王×ふつうの人

 アングラの帝王と呼ばれる演出家・流山児祥さんが、「同世代の普通の人たちと芝居をつくりたい」という想いで結成した中高年劇団「楽塾」。プロ養成でなく、当初は「演劇で遊びましょう」と呼びかけ集めた地域劇団だった。しかし、「人生経験は豊富だが、演技は未経験」である中高年のカラダは、流山児さんの創作意欲を予想以上にかきたて、団員もまた、まっさらな気持ちで流山児さんの創る芝居に夢中になった。その結果、「歌って、踊って、恋をする」をテーマにした歌劇の中には、団員一人ひとりが重ねた歳月や生活の重みが噴出するような、迫力ある作品が誕生している。
  公演は、年に1〜2回、上演作品は10年で13に及ぶ。稽古場兼劇場である「Space早稲田」はいつも全ステージ満員。発足時からの根強いファンも存在し、近年では1回10〜12ステージ。10周年を迎えた2007年は、下北沢の本多劇場、しが県民芸術創造館での初公演を果たし、観客動員1200人を越える劇団へと成長した。また、団員の中から、朗読を通じて平和活動を行う非戦ユニット「ピーストレイン」が結成され、楽塾での演劇経験は、社会に向けての発信力・表現力を身につけることにも一役買っている。

 

「今夜のおかず」を考えていた頃

 稽古は、週2回(1回:5〜6時間)、1年かけて1〜2作品を創る。流山児さんは、中高年だろうが、未経験だろうが、容赦なく檄を飛ばす。団員はそれを「プロと同様の扱い」と誇りに思い、緊張感と集中力が高まる空間で、おしげもなく自分をさらけ出していく。しかし、発足時は、プロ意識などなく、「稽古中に『今夜のおかず何にしょうかな』なんて考えていました(小森昌子さん)」「曇りの日は洗濯物が気になって(いそちゆきさん)」。  
  また、流山児さんのアーティストらしい感覚的な言葉は、当初、団員には理解し難く「『何やってるかわかんない』と言われましたが、私も『何言ってるかわかんない』と心の中で思っていました(杉山智子さん)」。そんな時にありがたいのが、演劇経験者。「私の通訳で何とか伝わっていたと思います(めぐろあやさん)」。
  「コートを脱いだり、傘をさしたり、何か動作をしながらだと、セリフがいえない。ずっと芝居をやってきたものからすると、驚きでしたね」。そして、歌ったり、踊ったり、走り回ったり、トイレットペーパーを転がしたり、ダンボール箱を解体したりしながらセリフをいうなど、流山児さん独自の手法で、団員の持つ「素」の面白さが引き出される。この持ち味を生かしながら、かつ作品として洗練させる最適の方法として用いられたのが、歌劇というスタイルだった。

北村想・作『ぜーんぶ 書きかえた ロール・プレイン・ザ・バグ』は楽塾用にあてがきされたSFファンタジー。

 

わかりやすいのに、先がよめないストーリー。独特のテンポで、よそみする間もなく最後までひきつけてくれる

 

 

面白がってもらえるよろこび

 発足当初からの団員に10年続いた理由を尋ねると「私たちの存在を面白がってもらえることが楽しい」「ふつうのおばさんを使って、あんな面白い作品を創る流山児さんの才能を尊敬しているから」とのこと。
  また、楽塾が劇団として継続できた背景には、流山児事務所のスタッフのサポートも大きい。同事務所の新人は、入所後、まず、「楽塾」に配属される。公演時は、照明、音響などのスタッフとして、流山児さんが多忙な時は、演出のアドバイスを行うなど世話役をつとめることになる。20〜30代の若い人たちだが、楽塾の団員とは互いに学び合える、家族的な関係が築かれている。
 次回公演は、2009年8月、下北沢「ザ・スズナリ」を予定。さらに、自信作『楽塾版☆十二夜』で初の全国ツアー公演を目指し、その後は、寺社をめぐる旅公演も企画されている。

 

 

 

■ これまでの上演作品  (構成・演出はすべて流山児祥)
1998年 第1回『水色の雨』
1999年 第2回『かもめが飛んだ』
1999年 第3回『Tokyo BLuE〜愛と官能の日々〜』
2000年 第4回『さよならの向こう側〜流山児版「桜の園」〜』

(作・チェーホフ「桜の園」より)
2001年 第5回『雨に咲く花』(金杉忠男・作「花の寺」より)
2001年 2001夏の発表会・新人お披露目『愛して頂戴』

(作・竹内銃一郎「伝染」+「あたま山心中」より)
2002年 創立5周年記念公演vol.1『楽塾歌劇 黄昏のビギン〜楽塾版ベルサイユのばら〜』

(作:高取英「G線上のアリア〜フランス革命異聞〜」)
2002年 創立5周年記念公演vol.2『星の王子さま』(作:寺山修司)
2003年 創立6周年記念公演vol.1『楽塾歌劇 楽屋』(作:清水邦夫)
2003年 創立6周年記念公演vol.2『楽塾歌劇 女たちの櫻の園』

(作・チェーホフ「桜の園」より)
2004年 創立7周年記念公演『楽塾歌劇 碧い彗星の一夜〜ファンタジーバージョン〜』(作:北村想)
2005年 創立8周年記念公演『楽塾歌劇☆真夏の夜の夢』

(作・W.シェイクスピア、翻案:野田秀樹)
2006年 創立9周年記念公演『楽塾版☆十二夜』

(作・W.シェイクスピア、松岡和子訳、翻案:流山児祥)
2007年 創立10周年記念公演『楽塾歌劇☆真夏の夜の夢』

(作・W.シェイクスピア、翻案:野田秀樹)
2008年 公演『ぜーんぶ書きかえたロール・プレイング・ザ・バグ』(作・北村想)

2009年 創立12周年記念公演『めんどなさいばん〜歌入り楽塾篇〜』(作・北村想)

2010年 創立13周年記念公演『ほろほろと、海賊』(作・佃典彦)

叙情歌はせつなく、その一方で、デジタルなダンスは、えもいわれぬ面白さ。女優さんたちの持ち味が最大限に引き出される