あしたば

■発足/2000年2月 ■対象年齢/55歳以上 ■団員数/25名(2008年2月)

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※毎年度は6月頃、西部公民館主催「シニアのための演劇講座」を開講予定。修了後、希望すれば劇団員になれる。関連記事

あしたば

「歳だから」とは言わせない

 「劇団あしたば」は、市の西部公民館主催「シニアのための演劇教室」の修了生らが「芝居をこれからも続けたい」と、指導者であった『劇団静芸』の山崎三郎さんに頼み込み、2001年に結成された。平均年齢67歳、56歳〜83歳(2007年2月)だが、「歳だから」と弱音を吐く人はいないという。
 「お年寄り団員がただ演劇をやりたいというだけの劇にはしたくない」という演出家の山崎さん。会長の小泉啓子さんも「老人介護や認知症などリアルなものでなく、民話などの中で訴えたいものをやりたい。幾つになっても夢を持ち続けたい」と気概を持つ。
 この「妥協しない」精神で、あしたばは、2001年2月の旗揚げ公演以来、『おこんじょうるり』(作・さねとうあきら)など民話を中心に、静岡市内の公民館、学校、高齢者学級、老人ホームなど7年間で、実に70回以上、舞台を踏んでいる。

 

「ごまかさない」芝居を目指す

 稽古は、週1〜2回(1回:3時間)。発声、体操などの基礎練習は欠かさない。最近好評なのは「くるくる回りながら」「誰かを指差して」などで思い切り笑うメニュー。「心と身体はつながっている。だから、身体が笑えば、心も笑えるようになる」。
 立ち稽古では「身体が動いていないから、うそっぽくみえるね」「あなただけ目立っちゃだめ」などストレートな言葉が飛ぶが、団員は、それを真摯に受けとめ、よりよい表現に挑戦する。稽古が厳しいのは、高齢であるがゆえとのこと。「歳とると適当にごまかしてしまおうとする。それでは、いい芝居にならない。私も高齢なのでわかるんです」と山崎さん。
 緊張感のある一方で、アットホームな雰囲気も漂う。休憩はないが、ホームルームのような時間があり、連絡事項や団員の報告が交わされる。劇団としての動きがわかり、一体感も生まれる。長年、高校教師を勤めた山崎さんらしいやり方だ。また、この時、団員が交替で「観客からの感想」を読むこともある。公演終了後、アンケートでは不十分と、全員ではないが官製はがきを配り、後日感想を書いて送ってもらうのである。「生きる勇気をもらった」「ずっとがんばって欲しい」など励ましの手紙だけでなく、中には辛口のものもあるが、皆に公開され、公演ごと感想文集としてまとめられている。

演出家・山崎三郎さんは元高校教師。稽古が楽しすぎてどれだけ賑やかになっても、山崎さんの一言で、水を打ったように静かになる。

 

創作歌舞劇『貧乏神と福の神』では、団員が笛やコキリコなど初めて楽器にも挑戦。生演奏が雰囲気にあっている。

 

限界があるようでないのが演劇

 あしたばの舞台は地がすりと黒幕で極めてシンプルだ。お面や衣装は手作り。「ホールを借りてやることだけが演劇ではない」と、旗揚げ公演は、お寺の本堂だったが、むしろムードがあり大盛況だった。
「今の自分たちのできる形、範囲で最高のものを目指せばそれでいい」という考えだ。
 それでも、いい芝居をつくれば、愉快な場面で笑い、悲しい場面では涙ぐんでくれる。家庭の悩みや健康の悩みなどがあっても、団員が芝居を続けてこられたのは、観客へ想いが届く幸せを重ねてきたから。「私が100万遍いってもわからないことを1回の舞台が観客が教えてくれる」と山崎さん。
 「他(の趣味)は切っても、これだけはやめられない」(工藤典子さん)、「足が悪くなれってもそれなりにできる。限界があるようでないのが演劇。とりあえず百(歳)まではやる」(塚本泰代さん)。今日摘み取っても明日には葉が生えるという植物「明日葉」にあやかったネーミングどおり、団員は、演劇を通じて、たくましくなった。

 

 

■これまでの上演作品:

『おこんじょうるり』(作・さねとうあきら、演・山崎三郎)17回

『ベッカンコおに』(作・さねとうあきら、演・山崎三郎)29回

『あゝ、野麦峠』(作・山本茂実、演・山崎三郎)12回

『アサと巳の介』(作・後藤富美、演・山崎三郎)14回

創作歌舞劇『貧乏神と福の神』(日本昔話より)18回

『嫁田(海を渡る娘より)』(作・小島真木、演・山崎三郎)3回

 

 

作・後藤富美『アサと巳之介』。蛇(巳之介)の嫁になったアサの愛をテーマにした作品。

 

幟をもってあちこちで活躍。2008年2月で結成後、丸7年になる。