
■開講/2005年6月 ■対象年齢/50,60代 ■受講生数/ 19名 (2008年度の場合)

現在は閉鎖。卒業生らが劇団を設立

「部活」のノリでいきましょう!
地下鉄東山線「中村公園前」駅から徒歩12分、緑が鬱蒼と茂る稲葉地公園の中に建つ、白亜の宮殿、名古屋市演劇練習館(通称、アクテノン)に、2005年より毎年、「アクテノンシニア演劇部」が開講している。6月〜12月、約半年間のプログラムで稽古し、同区の中村文化小劇場で(座席数:350)発表会を行う(2008年は12月12日、13日)。
講師は、劇作家で俳優、劇団B級遊撃隊を主宰する佃典彦さん。佃さんは、2006年『ぬけがら』で第50回岸田國士戯曲賞を受賞し、現在は、舞台のみならず、テレビ番組の脚本等でも活躍している。
現代劇で演じることの面白さを受講者に体験してもらうのが「アクテノンシニア演劇部」開講のねらい。かつての「部活」を思わせるネーミングは、佃さんの案で、佃さんを「顧問」と位置づけている。 演劇未経験者でも、気楽に通えるのが魅力だ。
下品になりきれ!
稽古は、週1〜2回(1回:3時間)で半年、全28回(2007年度)。最初の2カ月は基礎を学ぶ。「身体の力をどれだけ抜けるか」に挑戦したり、距離や方向の異なる場所に立つ人に向けて「どんなふうに声をだせば届くか」いろんなやり方を試してみたり。ある時は、歩き方を「スローモーション」「水の中」「砂漠」「泥棒になってみる」など演じ分け、ある時は全力疾走後に「オイ!いい加減にしろ!」と声をぶつけたりする練習など、日頃のストレス解消にも役立つメニューが好評だ。
「心と身体はつながっている。身体を変えると言い方も伝わり方も変わる」「一義的(メイン)な動きと二義的(無意識)の動きを使い分けて」といった佃さんの指導は、未経験の受講生にとって目からウロコ。 「興味深くて毎回、やったことをノートに記録(クミコさん)」。「演劇って、ただセリフをうまく言えばいいものだと勘違いしてました(ミエコさん)」。 配役が決まり、3カ月目から立ち稽古開始。役づくりでは「『下品になりきれ!』といわれ最初は『え?』と思ったけど、だんだん快感になってきて(ヒロコさん)」「相手役の方と話す機会をもったら息が合ってきた(タエコさん)」。ついこの間まで知らない者同士だった人たちが仲間になり、一緒に芝居を創っていく楽しさを共有する。回を重ねるごとに、稽古場のムードが盛り上がった。


演劇のコミュニケーションは使える
「演じる楽しさは、コミュニケーションにあると思います。他の人の影響を受けることなしに、一人でいくら上手にセリフをいっても芝居は面白くない。相手にどんな風に伝えれば、どんな風に伝わるのか。それがわかるようになれば、ますます楽しくなりますよ」と佃さん。
演劇の面白さ、仲間ができた喜び、公演の達成感を味わった受講生の多くが「まだ続けたい」と思っている。しかし、同演劇部は、よりたくさんの人に体験してもらうため、原則として3回目の受講はできない。そこで、2006年修了生の一部が『MOMOFANKI(モモファンキ)』という新しい劇団を立ち上げた。2007年10月の「アクテノンフェスティバル」には旗揚げ公演をおこなっている。
名古屋市演劇練習館では、自分たちで劇団をつくりたいというグループへ、講師やスタッフの紹介等のサポートができるように、劇作家、演出家、音響照明など、市内の演劇関係者を登録した人材バンクをつくりたいと考えている。
■これまでの上演作品:
2005年 第1回『ある夜の、デンエモン』(作:北村想、潤色・演:佃典彦)
2006年 第2回『いっぽんのキ』(作:北村想、潤色・演:佃典彦)
2007年 第3回『ねこ・こんさるたんと』(作:別役実、演:佃典彦)
2008年 第4回『歌うシンデレラ』(作:別役実、演:佃典彦)
